完全室内飼いの猫(家猫)の場合
一歩も外に出たことがない完全室内飼いの猫、いわゆる家猫は、外の世界に耐性がありません。
失踪して間もない頃は、広い場所で全身をさらすような大胆な行動はほとんどとりません。
民家の軒下や、民家と塀の隙間、といった狭い場所でじっと身を潜めて、動かずに様子を窺っていることが多いです。
初めて体験する外の世界を、用心深く観察している状態です。
失踪期間中に大雨や雪が降っても、身体は少しも汚れていない姿で見つかることがよくあります。
そういったことからもわかるように、ほとんどの時間を隠れて過ごし、行動したとしても最小限で済ませています。ですので、長距離の移動もしませんし、身を隠す場所がない大きな道路を、自分の意思で渡ることもあまりありません。
これが、完全室内飼いの猫の、失踪直後の一般的な行動です。
家猫の場合、隠れていそうな場所の目視捜索を、時間を変えて何度も行うことが非常に重要です。
事前に確認して姿が見えなかった場所から、出てくることもあるからです。
慣れない外で、警戒心が高まっている状態では、聞き慣れた飼い主様の呼び掛けにも素直に応答しないことが多いので、返事が無いからこの付近にはいない、とは言い切れません。
区画を区切る道路が細かったり、周辺の野良猫の数が多い、といった周囲の状況も、猫の逃走経路、移動距離に影響しますので、発見できない場合は徐々に捜索範囲を外に広げていきます。
一軒家、及びマンションからの失踪
【一軒家からの失踪】
一軒家の自宅からの失踪のケースでは、外に出た猫は左右どちらかの壁に沿って移動し、静かな家の裏側に回りこみます。
その付近や、接する家、もしくはその区画内に潜んでいる可能性が高いです。不慣れな環境に怯えて、隠れて動かないこともしばしばあります。
7日~10日程度ならば恐怖心が勝り、飲まず食わずの状態のまま、同じ場所で耐える猫もいるほどです。
チラシによって捜索の網を張り、近隣住民の方の協力を仰ぎながら近場の捜索を何度も行います。
【マンションからの失踪】
また、マンションなどの高層階から失踪のケースは、上下1~3フロア内などマンション内に隠れていることがあります。
ベランダ伝いに移動し、並びの部屋のエアコン室外機の下にいたり、廊下にあるガス器具の下に隠れているなど、すぐ近くで身を潜めているケースも多いです。
マンション住人の方に協力を仰ぎながら、まずは建物内の捜索を繰り返し行います。
落下の可能性が考えられる場合は、建物内だけでなく、落下場所付近の捜索も必要です。
【エサで呼び寄せる方法】
自宅から失踪したケースでは、自力で帰巣する可能性もあります。
出て行った窓や扉などから帰ってくることがあり、深夜早朝に多いです。
その際に注意することは、そっと静かに家に入ってくる猫を、大袈裟に出迎えたりしないことです。
神経質な猫は、そういった人間の行動に驚いて、また外に出て行くこともあります。
自宅の周囲にエサを置いて呼び寄せる方法は、他の野良猫が食べにくることもあるため、よくない場合があります。野良猫と顔を合わせると、迷い猫が家に帰ろうとする上での障害になりかねませんので、注意が必要です。
エサを置く時は、量を少なめにして食欲のエンジンをかけるようにしましょう。
迷い猫が山盛りのエサを食べると、食欲が満たされてしまい、再度顔を出すまでに、また時間が掛かってしまうことがあります。
見知らぬ場所からの失踪
移動中のキャリーバッグからの飛び出しや、旅行先での失踪のケースでも、普段の飼い方が捜索の上で重要になってきます。
初めての外、初めての場所という意味では自宅からの失踪と環境は似ています。ただ、自宅と失踪現場が離れており、その道筋を自分の足で歩いていないため、自力帰巣の可能性は極めて低くなり、難しいといわざるをえません。
このケースでは、走り去った迷い猫を見失った場所、及びその付近を繰り返し捜索します。
パニックから失踪しているので、場合によっては少し広めの捜索も必要です。
チラシによって網を張り、近隣住民の方の協力を仰ぎながら、目視で繰り返し捜索します。
こういった状況下の猫は、突然の出来事で興奮状態にあり、一般的な自宅からの失踪のケースよりも精神的に不安定になっている事が多く、失踪後すぐに発見しても、捕獲の際は慎重に行ったほうがよいといえます。
以上が、我々の完全室内飼いの猫に対する捜索方法、及び基本的な考え方です。
環境や状況によって、臨機応変に内容を変えていきます。